資源の保全
基本的な考え方
資源の保全は持続可能な社会の実現において重要な課題です。当社の環境方針では「1. 資源を有効利用するための技術を通じて循環型社会の構築に向けて取り組みます。」「2. 事業の諸活動を通じて、省資源に努めます。」と定めており、資源の保全は事業活動において考慮されるべき事項であると認識しています。当社グループでは水資源の有効活用、使用済みプラスチックの再資源化事業など資源保全への取り組みを行っています。
事業活動を通じた環境への取り組み
水資源有効活用の取り組み
当社のグループ会社である岩谷オーストラリア会社は、西オーストラリアで酸化チタンの原料となるチタン鉱石や、半導体・電子材料に使用されるジルコンサンドなどのミネラルサンド採掘事業を行っています。
採掘後の選鉱工程では、水を利用した比重選鉱によりミネラルサンドと砂・土とを分離していますが、使用した水はそのまま捨てずに一度大きなダムに貯蔵し、砂・土などの不純物を沈殿させてから上部の水を再利用するなど、水使用量の削減に努めています。
使用済みプラスチックの再資源化事業
当社は、使用済みプラスチックの再資源化事業に取り組む新会社「株式会社アールプラスジャパン」を12社と共同で設立し、2020年6月から事業を開始しました。
米国バイオ化学ベンチャー「アネロテック社」の技術を活用した再資源化技術は、ペットボトルを含むプラスチックを直接原料に戻すケミカルリサイクルの技術です。従来の方法よりも少ない工程で処理できるため、CO2排出量やエネルギー必要量の抑制も可能にします。新会社は、プラスチック課題解決に貢献すべく、2027年の再資源化技術実用化を目指しています。

低環境負荷PET樹脂の販売拡大
ボトルメーカー、飲料メーカー、フィルムメーカー等には環境負荷低減が求められており、当社も有効なソリューションの一つとして、低環境負荷PET樹脂を販売しています。低環境負荷PET樹脂は、サトウキビの搾りかす(廃糖蜜)から精製したバイオマスモノエチレングリコールを原料とするバイオPET樹脂、高い熱安定性により優れたリサイクル特性(リサイクル時に色や物性が変化しにくい)を持つアルミニウム触媒PET樹脂、製品からの重金属物質の流出リスクを低減する低アンチモン触媒PET樹脂という3つの商品群から成り、それぞれ拡販に力を入れています。また、当社は2021年より再生可能資源であるバイオナフサを使用したバイオPP・PE・PS樹脂の取り扱いを開始し、CO2の排出量を削減しながら、石油由来のプラスチックと同じ品質のバイオプラスチックを提供しています。

ヘリウムの安定供給
先端技術や医療現場に欠かせないヘリウムは、世界の限られた国のみで産出される希少な天然資源です。当社は、直輸入権益を持つカタールおよび米国の2カ国からヘリウムを調達し、安定供給に努めています。当社は国内最大級となる、東京ヘリウムセンター(茨城県稲敷郡)と大阪ヘリウムセンター(大阪市)の2カ所のヘリウムセンターを有しています。それぞれ高効率のヘリウム回収設備を導入しており、充填時に発生するロスを従来の8分の1に低減することで希少なヘリウムを有効活用しています。また、東京ヘリウムセンターでは、業界最高水準の純度を誇る7N超高純度ヘリウムガス(99.99999%)の製造設備も導入しました。国内での安定供給だけでなく、中国や東南アジア、米国で高まるヘリウム需要にも、当社は安定供給で応えていきます。
