マテリアル / 機能樹脂

「プラスチック資源環境戦略」で注目を浴びるバイオプラスチック

1. 2019年5月に策定「プラスチック資源環境戦略」とは?

背景

私たちの生活に多大な利便性をもたらしているプラスチックは、その機能の高度化を通して食品ロスの削減やエネルギー効率の改善などに寄与してきました。その一方で、プラスチックの製造には化石資源を始めとする枯渇性資源を使用していること、他の素材と比較して有効利用される割合が世界全体では低いこと、年間数100万tを超える海洋プラスチックごみが流出していることなどが地球規模での課題となっています。

「プラスチック資源環境戦略」の策定

こうした背景により、日本では2019年5月に「プラスチック資源環境戦略」を策定しました。基本原則として、「3R+Renewable」を掲げ、以下を重点戦略として提示しています。

①ワンウェイの容器包装・製品をはじめ、回避可能なプラスチックの使用を合理化し、無駄に使われる資源を徹底的に減らす
②より持続可能性が高まることを前提に、プラスチック製容器包装・製品の原料を再生材や再生可能資源に切り替える
③できる限り長期間、プラスチック製品を使用
④使用後は、効果的・効率的なリサイクルシステムを通じて、持続可能な形で、徹底的に分別回収し、循環利用(リサイクルによる再生利用、それが技術的経済的な観点等から難しい場合には熱回収によるエネルギー利用を含め)を図る

「プラスチック資源環境戦略」のマイルストーン

「プラスチック資源循環戦略」においては、2030年までに再生利用を倍増するほか、バイオマスプラスチックを最大限(約200万t)導入するよう目指すとしています。現在(2018年度)の国内バイオマスプラスチック投入量は4.4万tであり、現状と課題を整理して導入をさらに促進するため、用途や素材などにきめ細かく対応した 「バイオプラスチック導入ロードマップ」を策定しています。

<マイルストーン>

リデュース 2030年までにワンウェイプラスチックを累積25%排出抑制
リユース・リサイクル 2025年までにリユース・リサイクル可能なデザインに
2030年までに容器包装の6割をリユース・リサイクル
2035年までに使用済プラスチックを100%リユース・リサイクル等により、有効利用
再生利用・
バイオマスプラスチック
2030年までに再生利用を倍増
2030年までにバイオマスプラスチックを約200万t導入
出典:プラスチック資源循環戦略(概要) 環境省

<国内のバイオマスプラスチック投入量>

我が国のバイオプラスチック出荷量(2018年度)(出典)日本バイオプラスチック協会作成

2. バイオプラスチックとは?

プラスチックを取り巻く課題解決策として期待をされているのが、「バイオプラスチック」です。バイオプラスチックとは、①微生物によって生分解がされる「生分解性プラスチック」と、②当社でも早くから取り扱いをしている再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いた「バイオマスプラスチック」の総称をいいます。

3. バイオマス利用を促進する「マスバランス方式」とは?

「プラスチック資源環境戦略」の目標達成に有力な手段とされるのが、マスバランス方式を適用したバイオマスプラスチックや廃プラスチック由来再生材の導入だと言われています。
従来のバイオ認証(物理的分離)では、バイオ原料だけを使用した樹脂を「バイオ」とといい、100%の認証原料のみを含んだ製品が「持続可能な認証原料由来100%」と主張できました。しかし、マスバランス方式(物資収支方式)では、生産過程でバイオ原料に石油由来原料を混合することが認められており、原料として使用したバイオ原料の割合を、最終製品に割り当てるものです。例えば、認証原料を100t購入した場合、その100tから生産できる量の製品をISCC MB認証品として出荷することができます。In(バイオ原料調達量)とOut(認証付きレジン販売量)の総量のバランスを管理することで、例えば実物が石化品でもバイオマス度100%として出荷することが可能です。

<マスバランス方式>

MBでは業者Aから認証原料を100t買った場合、その100tから生産できる量の製品をISCC MB認証品として出荷することができる。ここでは入荷品と出荷品の物質的な繋がりは求められない。

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