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■意外に古い燃料電池の生い立ち
イタリアの物理学者・ボルタが電池を発明した2年後の1801年、イギリス王立科学研究所のデービー博士によって発見されました。日本では享和元年、伊能忠敬が大日本地図の測量を行っていた頃のことになります。
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■宇宙が拓いた燃料電池開発
1839年、イギリスのグローブ卿が実験に成功したものの、蒸気機関やガソリンエンジンなどの発達で日の目を見なかった燃料電池。しかし、クリーンで水しか発生しない特性は宇宙船に最適と注目され、アメリカのジェミニ計画・アポロ計画に採用されたのです。
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■エコロジーの視点から暮らしを変える「燃料電池」
いくつかある燃料電池の形式で、暮らしに密着した場面での活用が期待されているのが「固体高分子型」と言われる方式。作動する温度が常温から90℃と生活環境で使いやすく、起動時間が短くてすむため運転/停止が容易なことなどが特長です。また、小型化も可能となり大量生産によるコストダウンも期待できることから、家庭用発電、自動車、さらに携帯電話やノートパソコンなど幅広い用途での利用が始まっています。
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■究極のエコカー「燃料電池車」
地球温暖化の大きな原因、CO2。地球全体のエネルギー消費で排出された割合の17%が自動車からといわれています。さらに窒素酸化物、硫黄酸化物などの有害物質も考えると、自動車の環境対策は急務。だからこそ、燃料電池車が注目されているのです。
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有害な排出ガスは、ほとんど発生しません |
走行時に出るのは水のみ。大気汚染の心配がありません。
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エネルギー効率が高い |
ガソリンエンジンと比べ2倍(30%以上)のエネルギー効率。また、低出力域でも高効率が維持できるのも特長です。
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さまざまな燃料が利用できる |
水素は、LPガス、天然ガスやメタノール、バイオマスなど、石油以外の多様な燃料から得ることができ、資源の枯渇問題にも安心です。
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騒音が少なく静か |
ピストン駆動のエンジンに比べ動力軸直結のモーター駆動ですから、車内はもちろん走行時の外部への騒音も気になりません。夜の街や高速道路が静かになるでしょう。
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充電の必要がありません |
燃料電池という名前からよく誤解されますが、電気を蓄えているわけではなく、独自に「発電」しながら走るのが燃料電池車。ガソリンエンジン車と同様、短時間で燃料の補給ができるうえに、走行距離も同程度の車種も登場しています。 |
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■発電&給湯&暖房が1台でできる「家庭用燃料電池コージェネレーション」
自動車と並んでCO2の大きな原因が家庭生活。その解決策のひとつとして、家庭用燃料電池の普及に向け国も力を入れて推進しています。2005年、国は家庭用燃料電池システムの普及に向けて大規模な国家予算をくみ、一般家庭への設置を促進。これを2007年度まで継続し、初年度の2005年には400台の家庭用燃料電池が設置されました。しかし、現在はまだ各家庭に水素を供給するインフラがありません。では、どのようにして燃料電池の原料である水素を供給するのかというと、“改質”という、各家庭で使っているLPガスや都市ガスから水素を取り出す方法があります。これから普及しようとしている家庭用燃料電池システムはこの改質器が一体となったものです。このように燃料電池は最も注目を浴びているエネルギー装置なのです。 |
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燃料電池の仕組みの解説図 |
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省エネ&省コストを実現します |
発電して、そのとき出た熱を利用してお湯を沸かし、給湯などに使うという一石二鳥のシステムです。だから電気代とガス代、トータルの光熱費をぐっと抑えることができます。また、各家庭の電気やお湯の使用パターンを学習しながら効果的に運転するシステムとなっています。
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家庭用燃料電池コージェネレーション |
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CO2の排出を大幅に削減します |
年間のCO2を20%以上も削減します。これは自動車のCO2排出量に換算すると約6000km走った分の差になります。また、その削減効果は約1300uの森林が年間に吸収するCO2の量に相当します。
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