イワタニレポート

再生医療分野への取り組み

2022/2/25

中央研究所に再生医療の研究開発拠点を設立

岩谷産業は、再生医療の産業化に向け低温物流体制の構築を目指しており、中央研究所に「再生医療・バイオ研究開発拠点」を設立しました。
当社では、産業化が進む再生・細胞医療分野において、細胞保管・輸送に使用する液化窒素やドライアイス、細胞培養・製造に使用する炭酸ガス、細胞保管・輸送システム、細胞加工設備の供給を行っています。また、大学との共同研究、再生医療関連企業との業務資本提携の実施を進めています。
今月号のイワタニレポートでは、再生医療分野への取り組みについて紹介いたします。

細胞培養

「再生医療・バイオ研究開発拠点」を開設

兵庫県尼崎市の中央研究所に新たに設立した「再生医療・バイオ研究開発拠点」は、再生医療の製品製造を行う施設と同程度の清浄度を有するクリーンルームで、細胞培養・凍結・保管・輸送といった細胞製造工場で行う一連の工程を再現・評価できる設備を備えています。
具体的には、細胞培養装置、分析装置、凍結保存容器を備えており、今後、今後、本施設の活用により、再生医療の産業化において必要とされる製品・サービスの開発を加速させるとともに、新たにバイオ・ライフサイエンス分野に向けた新製品・新サービスの開発にも取り組みます。当社は、2024年に稼働する大阪・中之島の未来医療国際拠点に設立者として参画しており、同事業との連携による社会実装などを通じて、再生医療・細胞治療の発展に貢献してまいります。

クリーンルーム
凍結保存容器

マイナス150℃以下の温度管理・低温輸送システムの協業

当社は、トッパン・フォームズ株式会社と共同で、再生医療分野での利用が可能な新たな輸送温度管理システムの提供を行っています。
本システムは、再生医療分野で細胞・医薬品を保管・輸送する際に、細胞・医薬品が収納された容器内外のリアルタイムな温度管理を可能にするものです。当社が提供する液化窒素を使用してマイナス150℃以下の環境を保つ「ドライシッパー(細胞輸送容器)」と、トッパン・フォームズが開発した温度ロガー(温度管理システム)および、温度管理プラットフォームを利用し、マイナス150℃以下の低温環境で温度・位置情報のログデータをリアルタイムで取得できることが可能になりました。マイナス150℃以下の温度に限らず、マイナス70℃のドライアイス温度帯や常温帯の温度管理にも対応しています。

ドライシッパーの温度・位置がリアルタイムで見える!

  • ログデータをクラウド上に転送

    輸送中に取得した温度と位置情報のログデータをクラウド上に転送

  • ログデータをクラウドに保存

    オントレイシスクラウドでログデータを保管

  • 温度ログと位置情報が閲覧可能

    ブラウザからクラウドにアクセスし、リアルタイムで温度ログと位置情報が閲覧可能

大阪大学、京都大学と共同研究を実施

また、2020年の4月には大阪大学大学院工学研究科に「細胞保管・輸送テクノロジー(岩谷産業)共同研究講座」を開設しました。
本講座では、大阪大学の保有する再生医療製品の細胞加工施設や保存技術、細胞の評価技術と、当社の保有する低温技術と経験を活用することで、細胞の保管・輸送における技術・装置の開発を行っています。また、京都大学とも再生医療分野で共同研究を行うなど、医工学分野における学術の発展、技術課題の解決を目指して様々な取り組みを進めています。

共同研究講座を設置した
大阪大学 吹田キャンパス センテラス棟

株式会社サイフューズと業務資本提携を締結

2020年7月には、細胞を立体的に積層するバイオ3Dプリンティングという独自の技術を活用して革新的な再生医療製品の実用化を目指す株式会社サイフューズと、再生・細胞医療分野における業務資本提携を締結しました。
同社は、独創的なバイオ3Dプリンティング技術で血管再生、骨軟骨再生、神経再生等の再生医療に用いるこれまでにない3D細胞製品の開発に取り組んでおり、当社の培ってきた低温保管・輸送インフラの技術・知見・ノウハウを最大限に活かすことで、新産業の創出と市場発展に貢献してまいります。

サイフューズのバイオ3Dプリンタ

細胞製人工血管

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