水素エネルギー社会の実現に向けた取り組み

水素エネルギー需要の創出

FCVの普及など、水素社会の早期実現を目指して、当社は水素の利活用を支える供給インフラ「水素ステーション」の整備を進めています (2023年10月末現在、国内51カ所、米国5カ所を運営中)。国内では初となる高速道路にあるサービスエリア(SA)の水素ステーションも、2023年の9月に開業しました。
また、当社は今後需要拡大が見込まれるFCトラックなどの商用FCV向けステーションを積極的に整備していく方針です。2021年10月に設立した岩谷水素技術研究所を中心に、水素ステーションに必要な超高圧水素や、脱炭素関連ではグリーン水素に関する最先端技術の開発を進めていきます。
2025年の「大阪・関西万博」へ向けて「水素燃料電池船」構想も動き始めています。これは水素で発電しモーターで駆動する100~150人乗りの船を建造し、万博会場となる大阪湾の人工島と大阪市内の観光地などを結ぶ構想で、国内外に水素エネルギーの可能性を示す絶好の機会になると考えています。

燃料電池バスへの充填が可能な
「イワタニ水素ステーション 東京有明」
米国の水素ステーション

水素バリューチェーン推進協議会(JH2A)

社会実装プロジェクトの実現を通じ、早期に水素社会を構築することを目的として、2020年12月に設立された「水素バリューチェーン推進協議会(JH2A)」は、2022年4月より一般社団法人として活動を開始しました。JH2A は、エネルギー供給事業者や自動車メーカー、各種関連機器メーカーに加え、銀行、証券会社、保険会社も参画したオールジャパンの団体(2023年11月現在、413社が加盟) です。当社は同協議会の共同代表を務めており、参画するメンバーとともに積極的な活動を推進してまいります。

JH2Aが西村経済産業大臣へ政策提言書を提出

水素協議会(Hydrogen Council)

世界のエネルギー・運輸・製造業のリーディングカンパニー約152社で構成する「水素協議会」は、各国の政策立案者、水素利用企業、国際組織、市民団体などと協働して水素利用の推奨策や効果的な実行計画を策定し、共同目標の達成を目指しています。当社は水素協議会のステアリング・メンバーとして世界の水素ビジョンを共有し、日本の水素利用拡大に力を注いでいます。

  • ※2023年6月現在
2022年6月 米国でのCEOミーティング

日本水素ステーションネットワーク合同会社(JHyM)

JHyMは、FCV向け水素ステーションの整備や効率的な運営、FCVの普及促進を目的に、2018年に設立され、現在当社をはじめ国内の自動車、エネルギー、金融関連企業35社が参画しています。当社は水素ステーションの建設・運営、機器・システムの標準化などに取り組み、水素ステーションの拡充に貢献しています。

  • ※2023年5月現在

福島新エネ社会構想

国と福島県が進める「福島新エネ社会構想」に参画し、再生可能エネルギーで発電した電力を水素に変換して貯蔵し、地域で活用する実証に取り組んでいます。2018年、福島県浪江町において、当社はNEDO、東芝エネルギーシステムズ(株)、東北電力(株)、東北電力ネットワーク(株)、旭化成(株)と共に、太陽光などを利用して1万kW級(最大で毎時2,000Nm3)の水素製造が可能な「福島水素エネルギー研究フィールド」を建設しました。
2020年度から実証運用を開始し、製造した水素は燃料電池や水素ステーションに供給されています。

福島水素エネルギー研究フィールド

さまざまな協議会への参画・立ち上げ

水素社会の構築・拡大に向けて、さまざまな団体への参画や設立を進めています。関西地区では「神戸・関西圏水素利活用協議会」に事務局として参画するとともに、中部地区では「中部圏水素利用協議会」、関東地区では「東京湾岸ゼロエミッションイノベーション協議会」に参画し、当社がこれまで水素事業を通じて培ってきた知見を生かし、各地域における水素の社会実装に向けて実証や検討を進めています。また、製油所や発電所などが立地しCO2排出の多い港湾部でのカーボンニュートラル実現に向けて、脱炭素化に考慮した港湾機能の高度化を進めるべく、各港で設立が進むカーボンニュートラルポート検討会にも参画し、港湾部での水素供給について検討を進めています。

イワタニ水素エネルギーフォーラム

水素エネルギー社会への理解を深め、早期実現へ向けたネットワークづくりの「場」を提供するために、当社は2006年から、大阪と東京の2会場で「イワタニ水素エネルギーフォーラム」を開催しています。毎回、特別講演や参加者を交えた質疑応答が行われ、水素エネルギー普及の機運を高めています。

第16回イワタニ水素エネルギーフォーラム