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水素とイワタニ
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貯蔵・輸送・ハンドリング技術
水素保安技術と基礎実験
貯蔵・輸送・ハンドリング技術
水素輸送のさまざまな形態を開発してきたイワタニ
~輸送の合理化とシステム化で、大量供給を実現~
 水素が石油代替エネルギーとなるためには、大量かつ安価にそれが生産されるとともに、製造から消費地点に至るまでの水素輸送・貯蔵システムで、高い経済性と合理性を持つことが不可欠の要素となってきます。いわば、水素の輸送・貯蔵に関するハンドリング技術こそ、これから幕を開けようとしている水素エネルギー時代のインフラを支える基盤技術といえるでしょう。当社は水素&液化水素のトップサプライヤーとして全国に安定供給体制を築いてきましたが、この過程でこれらのハンドリング技術でも、合理化を通じて新たなモデルを生み出してきています。

  当社が、水素ガスの製造を目的とする大阪水素工業(現岩谷瓦斯)を設立し、水素事業への本格的な取り組みを開始したのが、1958年。この昭和30年代は、水素の黎明期ともいえる時代。工業需要そのものがまだ少なく、水素ガスは60kgないし80kgのシリンダーを手で配送するという時代でした。こうした中で、当社は1960年にはいち早く、輸送面の合理化に着手。シリンダーを束ねた形の「カードル」の開発によりフォークリフトやチェーンブロックによるハンドリングを導入する一方、「トレーラー」、「スライドローダ」、「セルフローダ」などの画期的な輸送車を次々に開発。同年の「大阪国際見本市」に当社が出展した水素ガストレーラーは、水素ガス長尺容器24本組を積載した画期的なシステムとして注目を浴び、「水素のイワタニ」を強く社会に印象づけることになりました。
  これらを通じて輸送能力も1台あたり500Sm3(※)~1,000Sm3~3,000Sm3へと大型化を実現し、拡大する工業用需要に対応して、水素の大量供給体制を構築してきました。
※35℃、1気圧での体積 1Sm3=0.886Nm3
輸送と密接に関係する水素の貯蔵方法
~液化水素から金属水素化物まで…輸送技術の革新にチャレンジ~
 水素を輸送するための媒体としては、高圧水素ガスのほかに液化水素、金属水素化物などが考えられます。高圧水素ガスの次に、より効率的な輸送方法として当社が目を向けたのが、液化水素による輸送・貯蔵法でした。

  水素をガス体で大量に輸送するには、約20MPaの高い圧力に耐えることができる大型のボンベを束ねたトレーラーに水素ガスを加圧充填して輸送することが一般的です。この場合、車両の大きさや重さから約3,000Sm3を一度に運ぶことが限界です。しかし、液化水素で輸送すると、液化された水素を凝縮するため飛躍的に輸送効率が上昇します。圧縮水素トレーラーと比べて最大約12倍の水素ガスを一度に運ぶことが可能となります。
水素貯蔵方法の比較
 水素はマイナス253℃(20.4K)で液体になります。高圧の水素ガスと違って、極低温の物性をもつ液化水素の輸送・貯蔵上、最も大きな問題となるのは、いかに運搬容器の断熱性能を高め、気化による損失・拡散を防ぐかです。

  1965年、当社は業界に先駆けて、液化水素のフィジビリティースタディーを開始。7年あまりをかけて、液化水素の保安・輸送・貯蔵について海外の事例研究を含めた本格的な調査を重ねてきました。こうした地道な研究を続けるなかで、1974年には、通産省工技院(当時)より「サンシャイン計画」の「水素の流通・消費プロセスにおける保安技術の研究」について研究委託を受託。大阪水素工業内に、わが国初の液化水素製造プラント(製造能力10l/h)を建設しました。
  1975年には宇宙開発事業団(現 宇宙航空研究開発機構)から、液化水素の輸送システムに関する検討の委託を受け、尼崎から田代(秋田県)まで、わが国初の液化水素長距離輸送に成功。
  翌1976年には、宇宙開発事業団(現 宇宙航空研究開発機構)、三菱重工業、石川島播磨工業などへ液化水素の納入を開始しています。また同年、わが国で初めて、液化水素の拡散・燃焼実験を実施。保安についても着実に知見を深めてきました。
  そして1978年9月14日、ついにわが国初の大型商用液化水素製造プラント(製造能力730l/h)が本格稼働を開始。水素エネルギーの歴史に新しい1ページを開いたのです。

  このプラントで製造された液化水素は、後に1986年、国産ロケットH-I型1号機(初の液化水素燃料ロケット)の燃料となり、打ち上げ成功に大きな役割を果たしています。
  なお、今日世界の自動車メーカーが燃料電池車用の研究にしのぎを削っている金属水素化物についても、当社は1973年当時、ランタン・ニッケル系合金による金属水素化物(=水素貯蔵合金、メタルハイドライド)の研究を手がけた実績があります。残念ながらこの経験は実を結びませんでしたが、こと水素に関しての、イワタニのチャレンジ精神のひとつの表れといえるでしょう。
さまざまな輸送・供給形態 圧縮水素ガス編
 圧縮水素ガスは、その使用量などに応じて、いくつかの形態の容器で供給されるのが普通です。 下記に圧縮水素ガスの供給形態を示します。圧縮水素ガス容器に取り付けられるバルブは、導管への誤接続防止のため、通常の一般高圧ガスとは逆の、左ねじが用いられています。また、高圧ガス保安法により、水素の容器はその表面積の1/2以上を赤色に塗装しなければならないことになっています。
(1)シリンダー
シリンダー 小型で10Sm3以下ぐらいの水素輸送に使われているものに、工業ガス業界では単瓶(シリンダー)と呼んでいる、いわゆるボンベがあります。この単瓶(シリンダー)は内容積が50lまでのものがありますが、現状では内容積46.7l、圧力14.7MPa充填で水素容量7Sm3のものが主流となっています(このほかに、10l、3.4lタイプの容器などもあります。実験室などでの少量用途で使用されます)。
(2)カードル
カードル 中型の輸送用容器として単瓶を集結したカードルがあります。内容積は46.7l×10本=467l、充填圧力14.7MPaが一般的ですが、50l×20本、30本、また充填圧力19.6MPaタイプもあります。大量に消費する場合は多くの数が必要となりますが、使用場所を移動させて使いたい場合などは、カードルであればホイストやフォークリフトなど簡単な設備で移動することができます。
(3)セルフローダ、トレーラー
セルフローダ、トレーラー 大型の輸送用容器には長尺容器を集結したセルフローダやトレーラーと呼ばれるものがあります。長尺容器とはその名称の示す通り1本の長さが6メートル以上もある長い大型容器のことです。長尺容器1本あたりの水素容量も60~140Sm3と大きく、また、重量も500kg以上となることからバラバラに単独で使用されることはほとんどなく、集結されることを前提に製作された容器です。現状最も大容量のものには、19.6MPa充填トレーラー1台で3,100Sm3容量のものまであります。
この容量の上限は、道路運送車両法および、道路交通法の車両寸法や最大積載量の制限に起因します。セルフローダとトレーラーの違いは、トレーラーはゴム製のタイヤが付いておりそのまま牽引して移動しますが、セルフローダには鉄製の車輪が付いていて、ウインチ付きの専用トラックの荷台に引き上げて移動するものとなっている点です。
(4)オンサイト供給
オンサイト供給水素のバルク供給にはトレーラーを用いるのが一般的ですが、さらなるコスト削減や安定供給を求めて、光ファイバーやガラスメーカーなどの大口ユーザー向けに水素発生装置によるオンサイト供給を選択するケースもあります。オンサイト供給とは、発生装置をユーザーの使用場所に設置し、現場でガスを製造して供給する方式のことで、ユーザー自身が設備を所有するケースやガスサプライヤーが設備を所有し発生するガスをユーザーが購入する方法などがあります。水素については、メタノール分解法、都市ガス/LPG分解法、水電解法によるオンサイトプラントがあり、原料・ユーティリティの入手しやすさ、発生規模などに応じて使い分けられています。
水素発生方法による比較
  メタノール分解法 都市ガス/LPG分解法 水電解法
原   料 メタノール 都市ガス/LPG 純水
作動温度 約250℃ 約800℃ 常温~150℃
水素ガス精製 PSA PSA なし
水素発生量 40~数1000m3/h 40~数1000m3/h 大型もあるが小型が主流
数1/h~約50m3/h
さまざまな輸送・供給形態、液化水素編
液体水素LGC容器(145l) 小型コンテナ(1,900l)
液化水素LGC容器
(400l
小型コンテナ(1,900l
液化水素を輸送するための容器は、国内では、LGC(可搬式超低温容器)、コンテナ、ローリーの3種類が主に使用されています。LGCとコンテナは、輸送用としてだけでなく、そのまま使用場所に置いて消費先容器として使用可能です。液化水素は外部からの侵入熱により気化してしまうので、その貯蔵は、外部からの熱を極力遮断する断熱性に優れた断熱方法を採用する必要があります。そのため輸送用容器の断熱には、いずれも積層真空断熱方式(一部LN2シールド付も導入)が採用されています。
  また、ロケット燃料向けなどの大量供給に対しては、液化水素ローリー(内容積23,000l)によりバルク供給が一般的で、この場合はローリーから低温貯槽などに液化水素を移し替えて貯蔵します。タンクローリーによる直接供給も可能ですが、高圧ガス保安法では、タンクローリーは移動式製造設備として取り扱われ、長時間以上同一場所に留め置いて使用する場合は、貯蔵設備としての届出も必要となるため、十分な注意が必要です。
液体水素ローリー(11,000~23,000l)
液化水素ローリー
(約20,000l
  最近では、液化ヘリウムを輸入する11,000USガロンコンテナと同タイプの液化水素コンテナ(ISO40フィート液化水素コンテナ)も導入されており、内容積40,000lの大量供給も可能となっています。
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