イワタニの水素技術

貯蔵・輸送・ハンドリング技術

水素を運んだり貯めたりする時には、体積を小さくすることで効率が良くなります。通常は15~20MPa(150~200気圧)程度の圧力で150~200分の1に圧縮した水素ガスを高圧水素トレーラーで運搬しますが、イワタニは水素を圧縮するだけではなく、液化することによって体積を縮めて運んだり貯蔵することを得意としています。水素を液化すると、体積は800分の1に縮まるため、液化水素のタンクローリーで運ぶほうが、圧縮水素ガスに比べて大量輸送、大量貯蔵に適しています。
イワタニは、液化水素の製造・商用販売を行う国内唯一のサプライヤーとして、千葉、大阪、山口の3カ所の製造拠点から全国に液化水素を供給しています。

圧縮水素の輸送方法

トレーラー
トレーラー
カードル
カードル
シリンダー
シリンダー

液化水素の輸送方法

40フィートコンテナ
40フィートコンテナ
ローリー
ローリー

超低温機器の製造

当社のグループ会社であるエーテック(株)では、水素のほか、酸素、窒素、アルゴン、炭酸ガス、液化天然ガス(LNG)などの産業ガスを、安全に貯蔵・輸送するための超低温液化ガス貯槽やタンクローリーなどを製造しています。また、宇宙分野では、ロケット打上げ場所やロケットエンジン試験場での水素やヘリウムの供給設備の設計、施工、据付、メンテナンスを行っています。さらに、近年では、超低温機器の製作で培った技術を活かし、燃料電池自動車(FCV)の普及に不可欠な超高圧設備となる水素ステーション機器を製造しています。

水素の品質分析

FCVに搭載されている燃料電池は精密機器であるため水素ガスに含まれる不純物が多いと故障の原因になります。このため各ステーションでは、定期的に水素の品質分析を行っています。当社では、ディスペンサーから高圧水素をサンプリングし、系統的に精度よく不純物分析を行う手法を確立。全国の約6割のステーションの品質分析を受託しています。従来は不純物成分ごとに複数の分析装置を用いて分析していましたが、ほとんどの成分を1台で測定できる新しい分析装置(TOF-MS)の開発も行い、分析時間の短縮やコストダウンにつなげています。

水素の品質分析

水素ステーション向け水素計量システム

水素ステーションに設置されている計量器には、現時点で公的な検査が義務付けられておらず、各社が自主基準に基づいて検査を行っています。今後は水素ステーションの普及に伴い、ガソリンスタンドと同じような公的な検査が求められてきます。高圧の水素ガス流量を正しく計測するためには難易度の高い技術が必要ですが、当社ではNEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託を受け、このシステム(マスターメーター法)を開発。2019年度より運用を開始しました。

水素ステーション向け水素計量システム

水素エネルギーハンドブック

水素の物性、用途、製造方法のほか、水素エネルギー社会の実現に向けた国内外での取り組みや、80年以上にわたる当社の水素事業の歴史などについてまとめた冊子です。

水素エネルギーハンドブック
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