水素ステーションの仕組み

オフサイト型水素ステーションは、液化水素を貯蔵しておく貯槽、ガスに変える気化器、高圧に圧縮するための圧縮機、高圧の水素を貯蔵する高圧蓄圧器、車両に供給するためのディスペンサーなどから構成されています。FCVへの充填は約3分、ガソリン車と同様に短時間で充填できます。当社では、圧縮水素ガスよりも省スペースで大量に貯蔵できる液化水素貯蔵型水素ステーションを基本としています。

FCVへの供給フロー

液化水素ローリー

千葉県市原市、大阪府堺市、山口県周南市の国内3拠点で製造した液化水素をローリーで全国の水素ステーションに輸送します。

液化水素貯槽

ローリーで運ばれた液化水素は、水素ステーション内に設置した貯槽にて貯蔵しています。貯槽の容量は24KLで、FCV500台以上に充填が可能です。

気化器

FCVの車載タンクには液体ではなく、高圧の水素ガスを充填しています。そのため液化水素を空気と熱交換することで気化させます。

圧縮機

気化した水素をFCVに充填するため、約82MPa(820気圧)にまで昇圧します。

高圧蓄圧器

昇圧した水素を一時的に貯蔵しておくためのタンクです。FCVには、高圧蓄圧器内の圧力とFCV内のタンクの圧力差を利用して充填します。

水素ディスペンサー

水素をFCVに充填します。高圧の水素を急速に充填すると温度が上昇するため、あらかじめディスペンサー内で-40℃まで冷やしてから充填しています。

機器の進化により水素ステーションの性能が向上

水素ステーションを構成する機器は、商用水素ステーションの運営開始時から比較して大きく進化し、水素ステーションの建設や運営コストの削減につながっています。

充填ホース使用回数がUP

FCVに水素を充填するホースは樹脂製のため、使用するたびに劣化していきます。商用ステーションが開所した当初は100回ごとの交換が必要でしたが、現在は耐久性が1,000回までと、10倍に向上しています。

蓄圧器の材質進化による軽量化

水素を超高圧(82MPa程度)で貯蔵する蓄圧器。かつてはオール金属でしたが、炭素繊維強化プラスチックなどの材料開発が進み、大幅に軽量化されています。

プレクーラーの小型化

FCVのタンクに水素を急速充填すると断熱圧縮により温度が上昇します。タンク温度を規定の85℃以内に保つためにあらかじめ水素を-40℃まで冷却するプレクーラーは、当社が建設した国内初の商用水素ステーションでは2m×1m程度の大きさでしたが、現在では体積比で1/50以下にまで小型化され、ディスペンサーに内蔵されています。

規制緩和に向けた取り組み

水素ステーションの建設・運営には高圧ガス保安法が適用され、火気距離・保安距離や使用部材などが厳しく定められています。金属部材の組成や肉厚など、安全性を十分担保した上で厳しい基準の見直しを行うことができれば、水素ステーションの建設コスト削減につながり、普及加速につながります。そのため、岩谷水素技術研究所において、部材の耐久性や強度分析をはじめ各種試験を行い、規制緩和に向けたデータの蓄積を行っています。

保安距離の短縮

高圧ガス保安法により8mとされていたディスペンサーから公道までの距離が、2018年4月より5mに短縮されました。

貯水槽の設置義務緩和

火災・災害時を想定した貯水槽の設置義務が緩和され、2018年4月より上水道からの直接散水が可能になりました。

セルフ化

現在は専門のスタッフが水素を充填していますが、低コスト化を進めるために、セルフステーション化が検討されており、遠隔監視システムが各地の水素ステーションに導入される予定です。

水素エネルギーハンドブック

水素の物性、用途、製造方法のほか、水素エネルギー社会の実現に向けた国内外での取り組みや、80年以上にわたる当社の水素事業の歴史などについてまとめた冊子です。

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