イワタニレポート

低・脱炭素ソリューションの取り組み

2022/8/31

バイオマスプラスチックの取り扱い拡大に向けた取り組み

当社では、PET樹脂、汎用樹脂からエンジニアリングプラスチックの各種原料、フィルム・シート・不織布などの中間製品、雑貨・日用品などの身近な製品から業務用エアコンパネルなど、多岐にわたる樹脂原料や樹脂製品を提供しています。
世界的に環境意識が高まる中、バイオPET(バイオマスPET樹脂)、バイオPP・PE(バイオマスPP・PE樹脂)をはじめとしたバイオマスプラスチックの取り扱いを強化し、脱炭素社会への貢献と事業拡大を目指し、取り組みを進めています。

バイオマスプラスチックとは

バイオマスプラスチックとは、再生可能なバイオマス資源を原料に、生産されたプラスチックを指します。
バイオマスプラスチックは、石化品と比較しカーボンオフセットによるCO2削減が実現でき、これにより、地球温暖化の防止や化石資源への依存度低減にも貢献することが期待されています。

バイオマスプラスチックを取り巻く環境

2019年に環境省より発表された「プラスチック資源循環戦略」においては、2030年までにバイオマスプラスチックを約200万トン導入という大きな目標が掲げられています。2050年カーボンニュートラルの実現を目指して、今後バイオマスプラスチックへの関心がますます高まっていくことが予想されています。

バイオPET(ポリエチレンテレフタレート)

当社は、2010年より植物由来原料(廃糖蜜・サトウキビの残渣)を原料の一部(30%相当)に使用したバイオPETを販売しています。植物由来原料を用いることで従来の石化品と比較して28%のCO2排出量削減を実現します。主な用途は、飲料用ペットボトル、化粧品や日用品の容器、食品トレー、包装用フィルムなど多岐にわたって使用されています。ここ数年は脱炭素などのニーズ拡大に合わせて販売数量が大幅に伸びており、当社のバイオマスPET樹脂の国内シェアは約70%となっています。(2022年3月末現在、当社調べ)
将来に向け、100%植物由来原料を用いたPETの製造を計画しており、2020年代後半の販売開始を目標に、量産プロジェクトへの参画を検討しています。これが実現すると、新たに石油由来の原料を用いることなくPETの製造が可能になることから、脱炭素社会の実現へ大きく貢献します。
また、バイオPETの製造に特殊な重合触媒(アルミニウム触媒)を用いることで、より高いリサイクル性能を付与する計画にも取り組んでいます。これにより一般的なPETと比較し、さらに高効率なリサイクルが可能となります。
PET供給のリーディングカンパニーとして、究極の環境配慮型PETのサプライチェーン構築に取り組んでいます。

(既存のバイオPET生産フロー)

バイオPP(ポリプロピレン)・PE(ポリエチレン)

当社が取り扱っているバイオPP・PEは、廃油などの再生可能資源を利用したバイオナフサを基に製造されています。当社は、2022年6月にISCC PLUS認証(※1)を取得し、マスバランス方式(※2)によるバイオPP・PEの取り扱いを開始しました。
また、2021年より、世界でも希少なバイオマス度が含有されている物理的分離(セグリゲーション)(※3)品のバイオPP・PEを取り扱い開始し、ラインナップに拡充しました。中でも、バイオPPは世界で唯一の製品であり、多様なお客様のご要望にお応えできるよう、環境製品の開発・発掘に努めています。

<商品の特徴>

  • ・石化品対比で最大75%(※4)のCO2排出削減効果
  • ・石化品と同等の品質
(物理的分離バイオPP・PEで製造した試作品)

(※1)ISCC PLUS認証とは

ISCC(International Sustainability and Carbon Certification)はバイオマス原料や再生可能原料等の国際持続可能性カーボン認証制度です。ISCC PLUS 認証は、マスバランス方式で製造されたバイオマス原料や再生可能原料由来の製品について、サプライチェーン上で管理・担保するための認証制度であり、欧州を中心に広く普及が進んでいます。

(※2)マスバランス方式とは

マスバランス方式とは、投入した総原料量(インプット)と販売した出荷量(アウトプット)の収支を考慮する方式です。バイオマス原料や再生可能原料由来の特性を製品に割り当てることで、環境対応をうたうことが可能になります。

(※3)物理的分離(セグリゲーション)とは

物理的分離とは、石油由来の原料と分離して保管・管理されたバイオマス原料を使用したバイオマス樹脂製品のサプライチェーン管理方式です。

(※4)メーカーによる試算

お気軽にお問い合わせください

関連ページ