イワタニレポート

再生医療分野への取り組み

2021/4/22

産業ガスの冷熱や低温技術を生かし、再生医療分野に参入

岩谷産業では、産業化が進む再生・細胞医療分野において、細胞保管・輸送に使用する液化窒素やドライアイス、細胞培養・製造に使用する炭酸ガス、細胞保管・輸送システム、細胞加工設備の供給を行っています。更に、大学との共同研究、再生医療関連企業との業務資本提携の実施や、大阪に2024年に本格稼働する中之島未来医療国際拠点へ設立者として参画するなど、再生医療の産業化への貢献と事業拡大を目指して取り組んでいます。

マイナス150℃以下の温度管理・低温輸送システムの協業

当社は、トッパン・フォームズ株式会社と共同で、再生医療分野での利用が可能な新たな輸送温度管理システムの提供を行っています。
本システムは、再生医療分野で細胞・医薬品を保管・輸送する際に、細胞・医薬品が収納された容器内外のリアルタイムな温度管理を可能にするものです。当社が提供する液化窒素を使用してマイナス150℃以下の環境を保つ「ドライシッパー(細胞輸送容器)」と、トッパン・フォームズが開発した温度ロガー(温度管理システム)および、温度管理プラットフォームを利用し、マイナス150℃以下の低温環境で温度・位置情報のログデータをリアルタイムで取得できることが可能になりました。マイナス150℃以下の温度に限らず、マイナス70℃のドライアイス温度帯や常温帯の温度管理にも対応しています。

ドライシッパー
(細胞輸送容器)
温度を管理

ドライシッパーの温度・位置がリアルタイムで見える!

  • ログデータをクラウド上に転送

    輸送中に取得した温度と位置情報のログデータをクラウド上に転送

  • ログデータをクラウドに保存

    オントレイシスクラウドでログデータを保管

  • 温度ログと位置情報が閲覧可能

    ブラウザからクラウドにアクセスし、リアルタイムで温度ログと位置情報が閲覧可能

大阪大学、京都大学と共同研究を実施

また、2020年4月には大阪大学大学院工学研究科に「細胞保管・輸送テクノロジー(岩谷産業)共同研究講座」を開設しました。
本講座では、大阪大学の保有する再生医療製品の細胞加工施設や保存技術、細胞の評価技術と、当社の保有する低温技術と経験を活用することで、細胞の保管・輸送における技術・装置の開発を行っています。また、京都大学とも再生医療分野で共同研究を行うなど、医工学分野における学術の発展、技術課題の解決を目指して様々な取り組みを進めています。

共同研究講座を設置した
大阪大学 吹田キャンパス センテラス棟

株式会社サイフューズと業務資本提携を締結

2020年7月には、細胞を立体的に積層するバイオ3Dプリンティングという独自の技術を活用して革新的な再生医療製品の実用化を目指す株式会社サイフューズと、再生・細胞医療分野における業務資本提携を締結しました。
同社は、独創的なバイオ3Dプリンティング技術で血管再生、骨軟骨再生、神経再生等の再生医療に用いるこれまでにない3D細胞製品の開発に取り組んでおり、当社の培ってきた低温保管・輸送インフラの技術・知見・ノウハウを最大限に活かすことで、新産業の創出と市場発展に貢献してまいります。

サイフューズの
バイオ3Dプリンタ

細胞製人工血管

新型コロナワクチン向けにドライアイスを供給

新型コロナウイルスのワクチン接種開始にあたり、輸送用および医療機関や自治体での保管用としてペレット状のドライアイス「ビーズドライ」の提供を開始しました。
輸送用では、ファイザー株式会社が全国の基本型接種施設に向けて輸送する際の冷却剤として当社のドライアイスを採用いただいています。また、保管用のドライアイスの提供について厚生労働省より公募があり、本年3月末までの供給について契約いたしました。また、4月以降も随意契約を締結する予定です。

ワクチン向けにドライアイスを供給する様子

炭酸ガスおよびドライアイスは夏場に需要が拡大し、需給がひっ迫することから、千葉県にある液化炭酸ガス製造設備の増設工事を進めてきました。本年5月に完成すると、同工場の製造能力は2倍に増強されます。
また、ワクチンおよび医薬品の輸送・保管用として、ドライアイスを保冷剤として使用することでマイナス75℃±15℃を10日間保持できる保冷箱を開発し、3月より販売を開始いたしました。従来の保冷箱では、出し入れ作業の際に製品を覆っているドライアイスを避ける必要がありましたが、新たに開発した保冷箱はドライアイスに触れることなく製品の出し入れが可能なため、作業性や安全性が大幅に改善されています。

ワクチンおよび医薬品向け保冷箱

関連ページ