水素エネルギーハンドブック第6版
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14水素エネルギーの基礎知識編Q&A化学の勉強で「スイ(水素・H)、ヘー(ヘリウム・He)、リー(リチウム・Li)、ベ(ベリリウム・Be)…」と、周期表を暗記した方も多いでしょう。その最初に出てくる水素(H)は、原子番号1番。元素としては通常、水や他の元素との化合物として存在します。水素分子(H2)は無色無臭の気体で、融点(-259℃)、沸点(-253℃)はヘリウム(He)に次いで低く、密度は気体・液体・固体のいずれにおいても、全物質の中で最小(=最も軽い)です。可燃性ですが、他の可燃性ガスのように炎の色を見ることはできません。気体の中では拡散率が最大(=最も拡がりやすいガス)で、燃焼すれば酸素と結びついて水になるクリーンなガスです。あらゆる物質の中で最も単純な原子構造。最も軽く、クリーンなガスです。そもそも水素ってどんなガス?Q1A無色無臭H2燃えてもCO2やSOxなどが出ずクリーン最も軽い気体拡散が速い液化水素は-253℃と極低温である火炎温度が2,000℃と高い火炎が見えない自然発火しにくい原子核の周りを回る電子1つの陽子からなる原子核電子軌道+-〈水素原子の構造モデル〉〈水素分子〉〈水素の物性〉水素原子 H水素原子 H水素分子 H2Q2A水素は石油や石炭、天然ガスなどのようないわゆる「一次エネルギー」ではありません。一次エネルギーは自然界から採取して利用されるエネルギーですが、水素は地球上には単体(水素分子=H2)の状態ではほとんど存在しません。同じように一次エネルギーではないのに、生活に欠かせないエネルギーとして利用されているものに、「電気」(電力)があります。電気は電線によって運ばれ、スイッチひとつで利用でき、直流・交流の変換が自在、動力・照明・冷暖房・通信など幅広い用途に使えて、利用する場面では廃棄物の出ない便利なエネルギー。そのため重要な社会基盤となっています。いま水素に大きな注目が集まっているのは、電気を使って水素をつくり、水素を再び電気に変えることで、これまでとは違った新しいエネルギーの社会インフラをつくることが可能になるからです。クリーンな水素がガソリンに代わるエコカーの燃料としてだけでなく、オフィスや家庭・工場のエネルギーとして広く使われるようになれば、低炭素社会を築く一助になると期待されています。一次エネルギーではありませんが、暮らしや社会を支える基本のエネルギーとなる可能性に期待が寄せられています。水素って、エネルギーになるの?

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