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HySUT「北九州水素タウン」プロジェクトへの取り組みについて
水素エネルギー社会の構築へ向って、目に見える形の実証を進めます

岩谷産業株式会社

 

岩谷産業株式会社(本社:大阪・東京 社長:牧野明次、資本金:200億円)は、水素供給・利用技術研究組合(理事長:吉田正寛、以下「HySUT(ハイサット)」)が、経済産業省の補助事業「水素利用社会システム構築実証事業」の一環として実施する「北九州水素タウン」プロジェクトに参画し、「純水素型燃料電池の運転実証」と「水素低圧充填機の運転実証」の2件の実証試験項目を受託しております。尚、運転実証は、福岡水素戦略 (Hy-Lifeプロジェクト)を推進する福岡県並びに北九州市とも連携して実施いたします。

本日経済産業省より発表がおこなわれ、HySUTからも資料配布がされました通り、2011年1月15日に、「北九州水素タウン」の完成式典が執り行われ、実証試験が開始されます。

当社の本事業での主な取り組み内容について以下の通りご報告申しあげます。

 

「北九州水素タウン」プロジェクトの概要

将来の「低炭素社会」を担う継続可能なエネルギー供給インフラモデル事業として、北九州市において、副生水素等を原料とする水素を水素ステーションよりパイプラインにて周辺地域に設置した純水素型燃料電池へ供給し、面的な広がりを持つ水素利用社会システムを構築すると共に水素供給ビジネスモデルの検証をおこなう。

 

【当社が担当する実証試験の概要について】

本事業を通し「水素利用社会システム」の構築をめざし、将来の水素エネルギー社会を目に見える形で実証することを目的とし、一般家庭や業務用施設に設置する純水素型燃料電池を運転実証します。
純水素型定置用燃料電池は、改質型に比して改質装置が不要で構造がシンプルになる上、利用サイトで二酸化炭素を排出しません。しかし、これまで実使用を想定したコミュニティ規模での実証は実施されておらず、今回の水素パイプラインによる水素供給により、一定地域内での本格的な実証試験が可能となります。

純水素型燃料電池を複数台設置し、排熱の有効利用を含めたエネルギーシステムとしての評価を行うとともに、水素ガス計量システムや安全システム等の実使用環境下で必要になると考えられる周辺技術についても検証をおこないます。

具体的な内容は次の通りです。

 

実証試験項目

[1]「純水素型燃料電池の運転実証」

(1)純水素型燃料電池の運転実証
①家庭用純水素型燃料電池の運転実証
純水素型燃料電池に関する排熱の利用を含めた高効率化のため、複数の家庭に1kW級の固体高分子形燃料電池を選定場所に設置し、燃料電池遠隔集中監視システムにて安全監視をおこないながら、純水素型特有の最適運転パターン構築の基礎データを取得する。
②業務用純水素型燃料電池の運転実証
業務用燃料電池を選定した公共施設に設置して実証運転をおこなうとともに、温水(90℃)として空調に利用することにより、発電に伴う排熱を有効に活用し、一次エネルギーの削減を目指すシステムとして、省エネルギー性の検証をおこなう。

 

(2)遠隔集中監視システムの実証
水素の安定供給、安全性の確保を目的として、燃料電池ごとに水素と電気、熱の需要と供給の実態を集中的に分析・把握できる通信機能付きの遠隔集中監視システムを設置し、その運転実証をおこなう。

 

(3)燃料電池水素ガス安全システムの実証
燃料電池の使用場所において、水素ガスの漏洩等、緊急事態が起こったときに、漏れたガスをすばやく検知し周知するとともに、ガスの供給をすぐに遮断するシステムを構築し、その運転実証をおこなう。

 

(4)脱臭装置(付臭剤除去フィルター)の実証
各燃料電池、および別途計画される小型移動体用水素カートリッジ水素充填設備の手前に脱臭装置(付臭剤除去フィルター)を設置し、水素中に添加された付臭剤(シクロへキセン)の除去性能を検証する。
また、付臭剤除去剤について、実証期間終了時に全ての脱臭装置内の脱臭塔交換作業を行い、作業性の確認、除去剤廃棄等について課題の抽出をおこなう。

 

(5)水素ガス計量システム構築のための基礎データ取得
将来の水素の商取引を想定し、標準器と連繋した水素ガスにて校正済みの各種流量計をサイトに設置し、実フィールドでの運転をおこなうとともに、信頼性を検証するための基礎データ取得をおこなう。

 

[2]「水素低圧充填機の運転実証」

(6)移動体向けの、水素吸蔵合金等の水素カートリッジへの水素充填実証
  近隣のホームセンターに水素低圧充填設備を配置し、燃料電池リフターや燃料電池アシスト自転車等の小型移動体に用いられる水素金属合金製の水素カートリッジ等への水素充填実証をおこなう。

 

参考資料

①「水素供給・利用技術研究組合(HySUT)」の概要

②「北九州水素タウンプロジェクト」の概要