水素エネルギーハンドブック第6版
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8未利用エネルギーを水素で活かすさまざまなプロジェクトを展開しています水素は、炭素分を含まず、CO2を発生しないという環境特性はもちろん、エネルギーキャリアとして再生可能エネルギーを貯め、運び、利用することができる特性を持っています。製造段階からCO2を排出しないCO2フリー水素のサプライチェーン構築に向けた各種プロジェクトをさまざまなパートナーとの提携により展開しています。輸送が難しいことなどから未利用エネルギーとなっている褐炭(低品位の石炭)。海外に豊富にある褐炭を有効活用してCO2フリー水素を製造*し、輸送・貯蔵、利用するしくみの構築に向けて、技術実証と商用化へ向けた課題抽出を目指し、日豪をつなぐ国際的なサプライチェーン実証プロジェクトを実施しています。日本側では2016年2月に当社、川崎重工業、シェルジャパン、電源開発の4社で技術研究組合CO2フリー水素サプライチェーン推進機構「HySTRA」(ハイストラ)を設立。現在は丸紅、JXTGエネルギー、川崎汽船も加わり、NEDOの助成事業により液化水素の大規模輸送・貯蔵による実証を行っています。豪州側では、2018年4月に当社、川崎重工業、電源開発、丸紅、豪州企業のAGL(AGL Energy Limited)の5社によるコンソーシアムが結成されました。現在は住友商事も加わり、豪州政府の支援を受けて豪・ビクトリア州ラトロブバレーの褐炭から製造された水素を液化し、日本へ輸送する実証に取り組んでいます。2020~2021年の間に最初の水素製造および輸送試験を実施する予定です。当社と、NEDO、東芝エネルギーシステムズ、東北電力が福島県浪江町にて進めてきた「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」が2020年3月に完成しました。こちらは再生可能エネルギーを利用し世界最大級の1万kWの水素製造装置を備えた水素エネルギーシステムです。電力を大量かつ長期に貯蔵することができ、輸送も可能な水素の特性を最大限に生かし、FH2Rで製造した水素を、燃料電池による発電用途、FCV・FCバスなどのモビリティ用途、工場における燃料などに使用していくことを想定しており、2020年度に実証運用が行われる予定です。*水素を製造する際に発生するCO2をCCS(CO2貯留)により回収・貯留することでCO2フリーの水素となる→P18参照実証事業の概要福島水素エネルギー研究フィールド■ 世界最大級の水素製造設備建設褐炭褐炭ガス化設備ガス精製設備水素液化・積荷基地液化水素運搬船液化水素貯蔵・揚荷設備CO2貯留(CCS)HySTRA実施範囲HySTRA実施範囲豪州側コンソーシアム実施範囲各種水素利用用途■ 日豪間の水素サプライチェーン構築画像提供:HySTRA、川崎重工業ハイストラ

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