水素エネルギーハンドブック第6版
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5水素・燃料電池戦略ロードマップ~水素社会実現に向けた産学官のアクションプラン~「水素基本戦略」のポイント 2017年12月、世界に先駆けて水素社会を実現するため「水素基本戦略」が政府から発表されました。将来目指すべき水素エネルギー社会の姿や、目標として官民が共有すべき方向性・ビジョンが示され、2050年までを視野に入れた2030年までの具体的な行動計画が盛り込まれました。 その後、2018年7月には第5次エネルギー基本計画が策定され、水素を再生可能エネルギーと並ぶ新たなエネルギーの選択肢とするため、水素エネルギーの目指すべき方向性が示されました。 こうして示された方向性を踏まえ、2016年3月に策定されたロードマップについて、水素基本戦略や第5次エネルギー基本計画の新たな目標等を反映させるとともに、2018年10月の水素閣僚会議で発表された「Tokyo Statement(東京宣言)」の内容も踏まえ、大幅な改訂が行われました。本ロードマップでは、10年後の社会を見据え5年後の技術開発目標を定めるなど、将来見通しをロードマップとして示したうえで、それを実現する手段としてアクションプランが提示されています。■ 低コストな水素利用の実現 2030年ごろに30円/N㎥程度の水素価格の実現を目指す。将来的に20円/N㎥程度までコストを低減。■ 国際的な水素サプライチェーンの開発 液化水素は、2030年ごろの商用化に向けて2020年代半ばまでに商用化実証を実施。■ 国内再エネ由来水素の利用拡大と地方創生  ●国内再エネ由来水素の利用拡大  水電解システムは、2020年までに5万円/kWを見通す技術を確立。2032年ごろには商用化を、将来的に輸入水素並のコストを目指す。 ●地域資源の活用及び地方創生■ 電力分野での利用  2030年ごろの商用化を実現し、17円/kWhのコストを目指す。水素調達量は、年間30万t程度(発電容量で1GW)を目安。将来的には環境価値も含め、既存のLNG火力発電と同等のコスト競争力を目指す。水素調達量は、年間500万~1,000万t程度(発電容量で15~30GW)を目安。 ※当社の液化水素製造プラント3カ所での年間製造能力は1億㎥ = 約9,000t水素・燃料電池戦略ロードマップ現状(2019年末時点)202020252030将来目指すべき姿水素量0.02万t0.4万t30万t(商用サプライチェーン規模)〜1,000万t+α(発電での消費量に大きく依存)コスト(ステーション価格)〜100円/N㎥(ステーション価格)30円/N㎥(1/3以下)20円/N㎥(1/5以下)発電利用(技術開発段階)17円/kWh(商用段階)12円/kWh(ガス火力発電を代替)モビリティ水素ステーション約110カ所160カ所320カ所900カ所相当収益性向上によりガソリンスタンドを代替FCV約3,600台4万台20万台80万台FCスタックの技術進歩・低コスト化によりガソリン車を代替FCバス約30台100台1,200台FCフォークリフト約250台500台1万台

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