水素エネルギーハンドブック第6版
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20水素ガスは液化すると800分の1に体積が小さくなります。一方、ボンベやトレーラーで流通している高圧水素ガスは15~20MPa程度の圧力で約150~200分の1に圧縮されています。そのため、液化水素にすれば同じ容量の容器に圧縮水素の4倍以上の量を計算上充填できることになります。また実際の輸送では、高圧水素トレーラー 1回当たりの輸送量が約3,000㎥であるのに対し、液化水素では最大12倍の3.6万㎥を一度に運んで貯蔵することが可能です。これは、気体の場合は細長い重いボンベを束ねているため、どうしても充填量が少なくなる等の理由によるものです。このように、液化水素は大量輸送・大量貯蔵が容易なため、ユーザーにとっては受け入れ頻度の大幅削減・安定供給・省スペースなどのメリットにつながります。かつて産業用水素の大半は圧縮ガスで流通し、液化水素は宇宙ロケットなど限られた用途のみに使われていました。しかし、2006年にイワタニグループが大阪府堺市に液化水素製造プラント(ハイドロエッジ)を稼働して以来、液化水素の需要は着実に増加しています。また水素は、ヘリウムに次いで沸点が低く-253℃の極低温で液化します。そのため、水素を液化するときは、水素中の不純物を取り除いておかないと、水素が-253℃になる過程で、ヘリウム以外の不純物は固化してしまい、製造設備内で閉塞を引き起こすことになります。したがって、液化水素は99.9999%以上の純度となっています。こうしたことから水素を大量に消費するガラスや金属加工、高純度水素へのニーズが高い半導体製造、電子部品、自動車関連などの産業分野で、構内に液化水素の大容量タンクや小型コンテナを設置し、利用するユーザーが増えてきています。「ガスは進化すると液体になる」と、イワタニは考えています。ここでいう進化とは、需要が増し用途が広がって、大量消費されるという意味です。将来の本格的な水素エネルギー時代には、水素も液化水素が主役になるでしょう。液体の水素は大量輸送・大量貯蔵ができ、省スペース・高純度な点がメリット。各種産業で水素ガスから液化水素への切り替えが進んでいます。液化水素と水素ガスはどう違うの?Q11A出典:ガスジオラマ2020 2019年度は予想(百万㎥)● 国内市場での圧縮水素販売量推移0102030405070603539354210年11年12年13年4414年4815年5816年17年18年63636919年(予)(百万㎥)● 国内市場での液化水素販売量推移※当社推計(2019年5月)● 水素の国内市場シェアイワタニは液化水素市場のほぼ100%、圧縮水素とあわせて約70%のトップシェアをもつ010年11年12年13年14年15年16年17年18年19年130117101918479(予)8389859450150100約70%

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