水素エネルギーハンドブック第6版
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16Q4A温暖化をはじめ地球環境問題が深刻化するなかで、水素は電気や熱に変えてもCO2や窒素酸化物などを排出しないクリーンエネルギーの有力選手として注目されています。その理由は5つ。①無尽蔵   水や化合物として地球上に無尽蔵に存在し、枯渇することがない②クリーン  燃焼しても水に戻るだけでCO2や大気汚染物質を排出しない③ハイパワー 宇宙ロケット燃料に使われるほどエネルギーとしてのパワーが大きい④エネルギー媒体 大容量電力の長期貯蔵など、多用途に使える二次エネルギー⑤エネルギーセキュリティー 水電解や化石燃料改質のほか、太陽光・風力・バイオマスなどさまざまな未利用エネルギーから製造でき、エネルギー自給率向上につながるエネルギーの大半を輸入に依存する日本が温暖化対策を迫られるなか、水素は、「資源エネルギー問題」と「地球環境問題」という2つの課題を同時に解決できるクリーンで汎用性の高いエネルギーとして、脚光を浴びているわけです。無尽蔵の資源で、化石燃料に代わるクリーンエネルギーとして期待されているからです。どうしていま、水素が注目されているの?太陽光や風力、水力、地熱などの自然エネルギーは、CO2を排出しない再生可能エネルギーとして、利用拡大が期待されています。現在は、自然エネルギーはほぼ例外なく電気に変換されていますが、電気は大量・長期間貯蔵が難しく、送電ロスが大きいという制約があります。では、自然エネルギーで発電した電気を水素に変えたらどうでしょう?大規模な風力発電や太陽光発電によって水素を大量に製造し、液化水素、有機ハイドライド(メチルシクロヘキサンなど)*、アンモニアなどの形に変えてエネルギーの消費地まで運び、そこで水素を燃料に燃料電池で発電することで、工場・オフィスのエネルギー源や交通システムの動力源にすることが可能です。自然エネルギーでつくったCO2フリー水素によって燃料電池で発電を行うようになれば、理想的な循環型エネルギーシステムが実現することになります。また、余剰電力を使って水素を製造し、貯蔵して使用すればよりエネルギー効率を高めることができます。*有機ハイドライド芳香族化合物に水素を結合させた水素化物。触媒反応により水素を貯蔵(水素化)したり、逆に取り出したり(脱水素化)することができる。トルエンと水素を化学反応させたメチルシクロヘキサン(MCH)などがある電気に変換している自然エネルギーを水素に変換すれば、効率的に貯蔵・輸送して必要なときに必要な場所で使えます。クリーンなエネルギーという点では、水素も自然エネルギーも同じでは?ローリー輸送パイピング供給パイピング供給パイピング供給水素発電所コンビナート水素製造水素輸入基地太陽光発電風力発電水力発電FCV電車・都市交通家庭用燃料電池燃料電池オフィス燃料電池海外からのCO2フリー水素LH2LH2LH2Q5A

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