水素エネルギーハンドブック第6版
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11水素ステーションの自立化へ向けて運営の効率化やコストダウンにつながる研究を加速FCV「MIRAI」の一般販売から5年が経過し、商用水素ステーションは全国に拡大しています。水素基本戦略が描く2020年代後半の水素ステーション自立化へ向け、技術実証から実用化へ。ステーション建設~運営までのコストダウンと同時に、より一層の安全性・信頼性の確保と利便性の向上を目指し、さまざまな個別課題に取り組んでいます。水素の炬火を開発  福井国体で採用されました2018年に開催された「福井しあわせ元気」国体・障スポにて、公式大会としては世界で初めて*炬火の燃料に水素が使用されました。水素は燃焼しても炎は無色透明であるため炬火の燃料として利用するためには着色する必要があります。このため、中央研究所では金属の炎色反応を利用して色を付ける技術の開発やテストを繰り返し実用化に至りました。*当社調べ水素ステーションに設置されている計量器には、現時点で公的な検査が義務付けられておらず、各社が自主基準に基づいて検査を行っています。今後は水素ステーションの普及に伴い、ガソリンスタンドと同じような公的な検査が求められてきます。高圧の水素ガス流量を正しく計測するためには難易度の高い技術が必要となりますが、中央研究所ではNEDOより委託を受け、このシステム(マスターメーター法)を開発。2019年度より実際のステーションで運用を開始しました。マスターメーター法での検査マスターメーターH2ディスペンサー■水素ステーション向け水素計量システムの開発FCVに搭載されている燃料電池は精密機器であるため、水素ガスに含まれる不純物が多いと故障の原因になります。このため各ステーションでは、定期的に水素の品質分析を行っています。中央研究所では、ディスペンサーから高圧水素をサンプリングし、系統的に精度よく不純物分析を行う手法を確立。全国の約6割のステーションの品質分析を受託しています。従来は不純物成分ごとに複数の分析装置を用いて分析していましたが、ほとんどの成分を1台で測定できる新しい分析装置(TOF-MS)の開発も推進し、分析時間の短縮やスコトダウンにつなげています。TOF-MSを用いた分析機器■水素の品質分析方法の確立

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