インダストリアルデザインを中心としたデザインオフィス・プレーンにて、四半世紀に渡り様々な企業のプロジェクトに従事。イワタニ
カセットガス機器に於いては、企画・設計と協力し、多数の商品を世に送り出している。
開発当初、デザインする上でわたしの頭を悩ませたのはカセットボンベの配置でした。カセットガス炊飯器を可能な限りコンパクトにするにはどのような形状にすべきか?カセットボンベを外に出っ張らせて高さを低くする案、炊飯装置下の片側に寄せる非対称案など、出来得るレイアウトをあらゆる方向から模索した結果、設置面積のもっとも小さいセンター配置の対称案を選択しました。しかしこの案はカセットボンベ分高さが増し、左右には無駄な空間ができてしまいます。
そこで筐体のデザインをカセットボンベの頂点が正面を向くよう45度回転させた四角形の配置にしたのです。そうすることによって必然的にカセットボンベは対角線上にセットされ、炊飯器のサイズを最もコンパクトにデザインすることができました。また設計者の協力により、カセットボンベの左右にある空間は剛性を増すための構造柱を設けることで内部空間も余すことなく理に適った設計ができたのです。
カセットガス炊飯器を片手に歩いている写真はこの商品を象徴する一枚です。実に持ち運ぶ時の安定感がありますよね。出来上がった商品は、四隅の角を丸めた縦長の直方体。左右対称形なので重心バランスもバッチリです。もし幅広のデザインだったら...左右非対称だったら...写真のようには持てなかったかもしれません。小さく見せることよりも、安定して持ち運べるサイズ感こそが、この商品に必要な形だったのです。
カセットガス炊飯器はもちろん機能面でも大変優れており、直火で釜の底面を熱し、釜全体に熱を安定して行き渡らせ、一気にお米を炊き上げます。ガスの火力により約18分という短時間で、5合炊きを実現しています。
こうして私だけでなく、企画や設計・製作など、開発に関わったたくさんの方々によってカセットガス炊飯器HAN-goは誕生しました。
ちょっと派手目なオレンジ色が、美味しいご飯の目印として、世の中に馴染んでいくことを開発者一同願っています。もちろん家で使っていただいても良いですし、ここで食べたいと思った場所でお使いになられればと思います。でもやはり私はアウトドアがお勧めですね。私はまず一度、家で炊き立てご飯を味わってから、次回のキャンプに必ず持って行きたいと思っています。
50周年を迎えたイワタニ
カセットガス。今後も新しい商品へのチャレンジは続きます。ぜひこれからもイワタニの商品展開にご期待ください。